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個人、会社、国家の破産

最近、ギリシャのデフォルト(債務不履行)の話題が新聞やニュース番組を賑わせております。

債務不履行から一歩進んで、ギリシャの国家破綻という声もあるようですが、国が破綻する、破産するということはどのようなことでしょうか。

通常であれば、破産とは、個人や会社が破産することを想定することが多いと思われます。

まず、「破産」とは、端的に言って、債務者の財産を債権者に分配して、清算することを指します。

会社が破産した場合、まずは財産の調査と換金を行います。また、債権者の調査を行い、負債がどの程度あるか、その負債の優先順位も調査します。

財産と負債の調査が終わると、優先順位に従って財産を分配し、債権者に配当がなされます。

破産する場合のほぼ100%の事件で、配当できる財産は債務額に足りませんので、一部もしくは大半の債権者は、配当を受けることができません。

会社の破産

会社が破産する場合、財産の分配が終われば、会社が消滅しますので、配当を受けられなかった債権者は、足りない部分を受け取れないまま破産手続が終わります。

つまり、最終的には会社がなくなり、債権者は、配当を受け取っても受け取れなくても、財産がなくなった時点で終わり、ということになります。

個人の破産

個人の破産の場合、財産が清算されることは同じですが、破産してもその人がいなくなる、消滅するわけではありませんので、財産が配当されても、その人の生活は続くことになります。

個人の場合、破産手続に続けて、免責という手続があり、免責を受ければ、特定の債権を除いて、残った負債を支払わなくてもいいことになります。

通常想定される破産とは、このようなイメージだと思います。

では、国家が破産するということは、どのような点が違うのでしょうか。

国家の破産

まず、国家が破産しても、強制的に清算する手続がありません。

会社が破産すると、破産法の下、裁判所と管財人の管理下で強制的に清算されることになります。

それに対して、国家の場合、国家を強制的に清算する規律・規則がないと考えられます。

そうすると、仮に国家が破産したとして、どのような手続が行われるのか決まっておらず、強制的な清算に至らないことも考えられます。

次に、国家が破産しても、国家自体はなくならない点が挙げられます。

会社は、破産すると法人格が消滅します。これは、法人格が法律に基づいて成立し、法律に基づいて消滅するためです。

国家は、⑴ 領土、⑵ 国民、⑶ 統治権、の3要素によって成り立つと言われています。

そのため、破産したとしても、領土があり、国民がいて、そこに対して統治権(権力)が及んでいる限り、国家はなくならないと考えられます。

そうすると、借金の返済のため、領土を外国に譲るということでもない限り、破産しても国家が消滅するということはなさそうです。

まとめ

ここまで見ても、国家の破産と会社や個人の破産では、大きく違うことが分かります。

破産しても存在が消滅するわけではない点で、個人の破産の方が国家の破産に近いかもしれません。

このように、国家が破産しても、国自体が消滅するわけではありませんので、ギリシャが仮に破綻・破産したとしても、ギリシャという国自体が消滅するわけではありません。

逆に言えば、国家の三要素がある限り、国家は消滅を許されず、借金もいつまで経っても無くならないということになりますので、それはそれで大変かもしれません。

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