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業務中に受け取った名刺の取り扱い

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業務中に受け取った名刺の取り扱い
業務中に受け取った名刺の所有権は誰に?|退職時トラブルを防ぐための企業対応

業務中に受け取った名刺の取り扱い

企業等で勤務している際に受け取った名刺の扱いに関して、きちんと取り決めている企業もあれば、そうでない企業もあると思われます。

例えば勤務していた企業を退職する際に、保管している名刺を渡すように求められたり、定期的に保管している名刺を渡すように求められることもあるのではないでしょうか。

企業等としては、退職する従業員が保管している名刺を使って退職後に営業活動をするのではないかと不安になり、退職等に当たって名刺の引き渡しを求めるという場合も想定されます。

このような場合に、企業・会社として、従業員にどこまで保管している名刺を渡すように求めることができるのでしょうか。

名刺の所有権について

この問題を考える上で、まずはその名刺の所有権が誰に帰属するか、つまり誰のものかを考えることが必要でしょう。このような場合には、雇用していた企業なのか、それとも実際に受け取った従業員なのか、どちらなのかという問題があります。

この問題を考える場合には、その名刺を受け取った場所、時間(勤務中なのか)、名刺を受け取った相手方が誰か、交換した名刺の作成費用を負担したのが誰か、といったことを総合的に考える必要があるのではないでしょうか。

就業規則や雇用契約がある場合

まず、就業規則や雇用契約なので業務中に受け取った名刺の取り扱いについて決まりがあるような場合には、その決まりに従う必要が原則としてあります。

雇用契約や就業規則は一種の合意内容を形成していますので、それには従う必要があるでしょう。

取り決め・規則がない場合

では、取り決め・規則がない場合にはどのようになるでしょうか。

まず、名刺を受け取った場所を考えます。名刺を受け取った場所が勤務先の取引先や勤務先の会議室など、勤務の一環として使用されている場所の場合には、仕事の一環として名刺交換をしたということで、その名刺はあくまで勤務先・企業等の代わりに受け取ったもの、つまり勤務先に名刺の所有権があると判断されやすくなるのではないかと思われます。

逆に、プライベートな場で受け取ったのであれば、会社業務と関係がないということで、従業員個人の所有物になると考える余地があります。

名刺を受け取った時間

次に、名刺を受け取った時間を考えます。名刺を受け取った時間が業務時間中・勤務時間中であれば、それは正に業務の一環として名刺交換をしたということで、勤務先に名刺の所有権があると判断されやすくなるでしょう。

逆に、全くのプライベートの場で受け取った名刺であれば、勤務先の指揮監督下にない時間ですので、そのような時間に受け取った名刺は従業員の個人的な物だと言いやすいでしょう。

難しい場合、中間的な場合として、勤務先の指揮監督下にはない時間ではあるが、勤務先が費用負担をする等の一定のかかわりをしている研修、勉強といった場合はどうでしょうか。この場合には、勤務先の関与の度合い、どの程度の業務との関連性があるかによって判断するしかないのではないかと思われます。

名刺を受け取った相手

名刺を受け取った相手が誰かという観点から考えた場合に、取引先や会社業務に関連する営業先の相手が名刺交換の相手であれば、それはやはり業務の一環として受け取ったものだということで、名刺の所有者は勤務先だと考えられるのではないかと思われます。

名刺の作成費用

それでは、交換した名刺が会社の名前になっており、名刺の作成費用を勤務先が負担している場合にはどうでしょうか。この場合には、名刺交換ということで交換している場合であれば、会社が費用負担をした会社名の名刺との交換ですので、交換して受け取った名刺は勤務先の所有物になるのではないかと思われます。

逆に、交換ではなく一方的にもらった場合には、場所や時間等から判断することになるでしょう。

さいごに

このように、名刺の取り扱い1つをとっても何らかの問題に発展することもありますので、名刺の取り扱いも就業規則により決めたり、定期的に企業等で回収するなどして、できる限りもめない方法をとるのがいいでしょう。

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