ケーススタディ ~契約書にまつわる失敗事例~

契約書がなかったために起こったトラブル

「契約書がなくても大丈夫、問題はない。」
と思われている会社様は多くいらっしゃると思います。
しかし、私共は、契約書を作成していなかったために、大きなトラブルとなってしまった、という会社様をたくさん見てまいりました。

ケース1

契約書を作成せず、「発注書」と「請書」だけで売買取引を進めていた事案で、
途中、売主が税金の滞納により差し押さえを受けたことから、買主側が取引を解除しようとしましたが、売主は「差し押さえ自体は契約の解除事由とならない」ことを理由にこれを拒否しました。取引が進まなかった結果、数千万円の損害が生じてしまいました。

ケース2

契約書を作成せず、「見積書」と「請書」だけで業務委託取引を行っていた事案で、
「どこまでの業務が委託の対象に含まれるのか」という委託業務の対象範囲の点で、当事者に齟齬が生じてしまい、結局取引が停止してしまいました。

言った・言わないトラブル

「契約」というのは、契約「書」を作成しなくてもよく、口頭の約束のみでも成立します。

しかし、口約束の場合、「言った・言わない」のトラブルが生じやすいのは、皆さまの日常生活でのご経験からも、容易に理解できるのではないでしょうか。
また、口約束だけですと、契約に関する詳細な内容まで詰められていないことが多いので、そういった詳細な事項に関する解釈につき、後日紛争となることはよくあることです。

ケース1

駐車場の管理業務を委託する業務委託契約を口頭で結んでいたが、取引の途中で、「駐車場の入口における自動車の誘導業務」が「駐車場の管理」にあたるか否かという点で、当事者の認識に齟齬が生じてしまい、トラブルに発展。

ケース2

海外での輸入靴の買い付け契約を口頭で結んでおり、「買い付けに必要な費用は買主が負担する」旨の約束をしていたが、取引の途中で、「海外から国内倉庫に運んだ後の倉庫での保管費用」は「買い付けに必要な費用」と言えるか否かという点で、当事者の認識に齟齬が生じてしまい、トラブルに発展。

不適切な契約条項は無効となり、企業イメージの低下につながる!

契約を締結する際、契約当事者は、契約の内容を自由に定めることができます。

しかし、「自由に定められる」といっても限界はあり、法令(強行法規)や判例等に違反するような内容は定められません。

契約条項が無効となると、企業は期待していた利益を得られなくなる可能性があるばかりか、損害賠償の請求を受ける可能性すらあります。

ケース1

クリーニング屋のフランチャイズで、契約期間は2年とされていたが、その契約書の中で、『加盟店がフランチャイズ組織から中途脱退する場合、「加盟店は本部に対して500万円を下限とした解約一時金を支払わなければならない。但し、役員会の決議によりこれを免除できる」』と定められていました。
上記ケースが争われた事案で、裁判所は、独占禁止法違反(優越的地位の濫用)等を理由に、合意が無効である旨判断しました(浦和地裁平成6年4月28日)。

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