第4話 折れない心

1 あらすじ

光(内山理名)は、ダリア精機で社員に「ミクロン単位の超精密加工の技術を誇りとして、名古屋のものづくりを代表する会社になることを目指す」「ゲージ事業を継続する」と宣言する。

光は、銀行員の長谷川(村上淳)に会社の再建計画を伝え、その実現を約束する。

しかし、頼りとする職人の勝俣(竹中直人)は、前社長の泰造(舘ひろし)を失い、長年一緒に働いてきた仲間を退職に追いやってしまった責任から、退職を申し出る。

説得を試みる光だが、勝俣は頑なに拒否する。

そんなある日、光は、泰造が生前やっていた中学校でのものづくり教室を頼まれて・・・。

(マチ工場のオンナ|NHK ドラマ10 – NHKオンライン
  http://www.nhk.or.jp/nagoya/machikoba/story_04.html  から一部引用)

2 ダリア精機の強み

打越(忍成修吾)がダリア精機の強みを過去40年分の経営データから分析したのに対して、光社長は、

「こっちのスーパーで買うか、あっちのスーパーで買うか、決めるのはお店じゃなくて、お客さんの方でしょう?

 うちの強みは、うちに注文してくれる取引先のほうがわかってるんじゃないかな」、「直接聞いてみたほうが早いんじゃない」と提案する。

光の問いに対して、取引先の社長は、
「一言で言ったら対応力」
「ダリアさんは急な依頼にも応えてくれる、欲しいと思った時に持ってきてくれる。ほら、あんたとこのお父さん、ノーと言わない人だったから」

3 意識改革

整理整頓でスペースや通路が広がり、作業、運搬がしやすくなり、工具類を探す時間も短くなった。また、若手中心の「ひよこの会」からの改善提案に続いて、交換日記による社員との意見交換を始める。

仕事の進捗状況をパソコンで管理するソフトの提案、台車の上に空の箱を載せて製作途中の半製品を直接箱に入れて無駄を省く、カーブ局面を持つ部品の切削の提案…

ダリア精機では、若い社員から次々に改善提案とその成果が出てきます。

4 ものづくり教室で

中学校のものづくり教室の出張授業の一日先生を、亡き泰造のピンチヒッターとして勝俣が、

「俺みたいなじじいになっても、もっといいものを、まだまだ新しいものを作りてえ。もっともっと、まだまだ、そうやって一生向き合える。ものづくりに、終わりはないんだ」

「君たちみたいな若い奴らが、自分の手で物を作る喜びを知ってくれたら、きっと……洋々たる未来が開ける。」

勝俣は、このものづくり教室の一日先生と、一ノ瀬(吉村界人)のカーブ局面を持つ部品の切削の提案が契機となり、ダリア精機に戻ることとなる。

5 実際のダリア精機では

原作では、1年目の意識改革〜悪口会議が改善の突破口となります。

原作『町工場の娘』では、諏訪貴子社長は、職場ごとに小人数の「QC(品質管理)サークル」を設け、さらに、若手社員も遠慮せずに発言できるよう、部署を超えての同じ年代の社員を集めたクロスファンクショナルチームも立ち上げました。
10〜20代が集まる「若手の会」、30〜40代が集まる「中堅の会」、50代以上が集まる「職人の会」の3つで、チームごとにリーダーを決め、月1回チーム会議を開いてもうらうことにしたのです。

「若手の会」から何を話したらいいかわからないとの声が出て、諏訪社長は、「ここがやりにくい」「これが使いにくい」など会社に対する悪口でも何でも言っていいからと伝えて、「悪口会議」と呼ばれる改善提案の場としたのです。

「工場のガラスが割れたままになっている」「作業でかがむのが腰が痛い」「製作途中の半製品をはいったん床の上に置き、次の工程に進むときにには一つ一つ持ち上げ、台車に載せて運んでいる。重い、時間がかかる」

「バラバラに並んでいる工具をサイズ別に並べる」「重い製品の製作用にチェーンブロックを導入」「階段横の汚れていた壁をペンキで塗り直す」

諏訪貴子社長は、「どれもささやかな改善ばかりです」と書かれていますが、とても大切な改善です。これらが積み重なると素晴らしい成果を上げます。

特に若手社員が「自分の努力や工夫で会社を変えられる」ことが大きな励みとなり、小さな改善が一つひとつ積み重なるたびに、「会社が良くなっていく」ことが実感できたのです。

また、原作のダリア精機では、新入社員の座学の研修終了後、3か月かけて、旋盤、フライス、研磨機、切削機など、工場内にある十数種類の機械の使い方を一つひとつ指導します。

早い時期に様々な機械に触れる機会を設けるのは、人によって作業の適性や機械との相性が異なるからとのことです。

この機械を使い始めた1ヵ月間、諏訪社長は毎日交換日記をつけました。普通の大学ノートを使ったとのことです。

これらは、人材の確保と育成のためです。

さらに、社員の目標設定や将来像の確認のための「チャレンジシート」を導入しました。諏訪社長が年2回の人事評価面談に向けて、事前に「業務内容」、「今、取得している技術」、「取り組んだ業務」、「次の半期に取り組みたい業務」を社員に記入してもらい、所属長の意見と評価を加えます。

諏訪社長の面談の際には、このシートを見ながら、今の課題、次に習得すべき技術、目指すべき方向などを話し合い、将来に向けた意識づけを行います。

6 弁護士浅野の考察

諏訪社長は頻繁に工場で過ごし、社員への声掛けを試み、社員とのコミュニケーションを密にして距離を縮め、一人一人の社員が何を思い、何を考え、何を悩んでいるかを知ろうと努力します。

そのうえで、工場の整理整頓活動に続き、社員を巻き込んだ改善提案、改善実行の活動、交換日記による新入社員の定着と育成を図ります。

「交換日記」・「チャレンジシート」により、社員各自の目標に向けた活動のほか、自らが大学卒業後入社した自動車部品メーカーで、新入社員研修を受けた時に綴ったノートをもとにした社員研修を、1〜2週間に1回のペースで行うのです。

相手をよく知りよく理解できなければ、適切な対応、対処ができません。相手をよく知りよく理解するために、諏訪社長は大変な時間と熱意と努力を社員との意思の疎通に注ぎます。

その気づきと実行力にはただただ脱帽するばかりです。

私は、諏訪社長に倣い、2018年の目標を、整理整頓と社員との意思の疎通と事務所の改善活動に時間と熱意と努力を注ぐことにしました。