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VOL.103 2021/01/12【在宅ワークにおける新ハラスメントにご注意を!】


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vol.103 本号の内容

2020年01月12日

  • 在宅ワークにおける新ハラスメントにご注意を!

名古屋総合法律事務所
社会保険労務士 増田友子

在宅ワークにおける新ハラスメントにご注意を!

はじめに

新型コロナウィルスに振り回された令和2年も年の瀬を迎え、会社勤めの方にとりましては例年どおり年末調整の季節となりました。

新しい働き方が生まれれば、それに伴い新しい問題が発生することが考えられます。最近、「テレワークハラスメント」「リモートハラスメント」という新しいハラスメントが問題になっているということです。以前から「オンラインハラスメント」という概念があったようですが、これは主にプライべートでのSNS(交流サイト)を利用する際に受ける、ネット上での誹謗、中傷、いやがらせのことを指し、職場で問題となることは少なかったようです。

在宅ワークでのオンライン会議、ミーティングの際、こんな発言をしていませんか。

「素敵なカーテンだね。」
「案外狭い部屋だね。」
「電車の音がうるさいね。」
「家ではすっぴんなんだね。」

在宅ワークに関しこんな言動をしていませんか。

・宅勤務者の働きぶりを確認できないから、といった理由により、勤務時間中においてカメラを常時オンにするように求める
・労働者自宅においてWi-Fi契約されていないことを常識外れだと非難する。

これらの言動がなぜハラスメントに該当する可能性があるのか、まず、職場におけるハラスメントとの定義を考えます。

パワーハラスメントとは

職場において行われる
 1. 優越的な関係を背景とした言動
 2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
 3. 労働者の就業環境が害されるもの
以上の3つの要素を全て満たすものをいいます。

なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

セクシュアルハラスメントとは

職場において行われる
 ①「労働者」の意に反する「性的な言動」により
 ②労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されること
をいいます。

ここでいう、「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については「職場」に含まれる(「令和2年厚生労働省告示5号」)とされています。

よって、在宅勤務者の自宅は、「職場」と解されることになります。つまりこのことは、労働者にとって、「職場」と自宅(プライベート空間)との境界がなくなってしまうことを意味し、オンライン会議に至っては、上司又は同僚からカメラを通じて私生活の様子を伺いうる状況となっているのです。


また、リモートワークの頻度、期間が増えるに従い  ・ 労使間、職務チーム内における指示、確認に必要となるコミュニケーションの欠如
 ・ 相互の信頼関係が希薄化
 ・ 意思疎通がしにくいことによるストレスの蓄積
といった負の側面も増えることが想定され、これらも含め総合的にハラスメント問題をとらえる必要がありそうです。

先の言動が、「優越的な関係を背景とした言動」、「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」か否か、それらによって「労働者の就業環境が害された」かどうかの判断により、ハラスメントに該当するか検討することになりますが、直ちに「テレワークハラスメント」「リモートハラスメント」とされるか否かは判断が難しい面もあります。

一方で、事業主には、適正な職場環境(在宅勤務における環境も含む)の整備をする責務があります。これは、いわゆる「パワハラ防止法」(2020年6月1日施行。中小企業にあっては2022年4月1日から義務化。それまでは努力義務)の第30条3項に定められています。

昨今の感染症流行により、今まで在宅ワークを取り入れていなかった事業場においても、広く在宅ワークが取り入れられることとなりました。オンライン上での会議等に不慣れな上長、同僚間において、事業場で何らの教育、啓発を受けないままに「テレ(在宅)ワーク」の形だけが先走りしている場合は、注意が必要です。ある日突然思わぬ問題が顕在化する可能性があります。

事業主が出来ることは何か

 ・ 職場(リモートワークの際の職場も含む)においてパワハラ、セクハラに該当するような言動をとらない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること。
 ・ 問題が起きた際の相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。
 ・ 相談をしたこと等を理由として、解雇その他不利益な取り扱いをされない旨定め、労働者に周知すること。
 ・ 雇用管理上の措置を行っているか否かにより、民事上の損害賠償請求事件等に影響を及ぼしうると認識すること。

労働者にできることは何か
 ・ 在宅勤務においても、外出できる程度の適切な服装をする。
 ・ カメラ背景において、私生活を感じさせるような映り込みをできるだけ回避する。
 ・ 在宅勤務において、不快な思いをした場合は、速やかに上司に報告する

まとめ

リモート(在宅)ワークの広がりとともに、職場に発生する問題も多様化しています。5年前にはなんともなかったことが、社会状況、職場環境の変化により、そうでなくなり、常に新しいものの考え方が求められていると感じます。
明るい職場環境の整備がテレワークの場においても実践されるよう、今一度自社の体制を振り返ってみてはいかがでしょうか。


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