ホーム >  メールマガジンバックナンバー >  VOL.108 2021/08/05【新型コロナウイルスの予防接種と雇用関係】

VOL.108 2021/08/05【新型コロナウイルスの予防接種と雇用関係】


弁護士&社労士&税理士&司法書士が教える! 企業法務・労務・税務・登記に役立つ法律情報

弁護士法人 名古屋総合法律事務所


経営者、企業の法務担当者・人事労務担当者・管理部門担当者の皆さまがビジネスで必要な法律・労務・税務・登記知識を、無料のメールマガジンとして提供させていただきます。
法律のプロだからこそ話せる実際の事例や最新の法律にまつわる情報を「分かりやすさ」と「実践性」に主眼を置いて、月1回お届けします!

vol.108 本号の内容

2021年08月05日

  • 新型コロナウイルスの予防接種と雇用関係

名古屋総合法律事務所
弁護士 杉浦 恵一

新型コロナウイルスの予防接種と雇用関係


はじめに

昨年からの新型コロナウイルスの影響が続いていますが、だんだんとワクチン接種も進んできています。ワクチンの有効性や副作用をめぐっては色々な議論があり、ワクチン接種に反対する方も出てきているようです。

このような中、世界的にはワクチンパスポート(ここでは新型コロナウイルスのワクチンを接種済みであることを公的に証明する書類等)の利用も出てきているようですので、今後、新型コロナウイルスのワクチンを接種しているかどうかで、何らかの差が出てくる可能性もあります。

一部ではワクチンの義務化も

報道では、アメリカの大学で新型コロナウイルスのワクチンを接種したことを対面授業に出席できる条件にするとか、フランスでは医療従事者等に対する新型コロナウイルスのワクチン接種の事実上の義務化を立法する動きがあるなどと言われています。

日本でも、いずれは新型コロナウイルスのワクチンを接種しないことによる不利益が生じたり、逆にワクチンを接種することによる利益が出てきたりする可能性があります。

飲食店では、ワクチンを接種すると割引したり、商品をサービスされるなどの動きもあるようです。

では、雇用契約、会社と個人との関係では、この点はどのように考えられるのでしょうか。

今のところ、はっきりとしたことは分かりませんが、少なくとも新型コロナウイルスのワクチン接種自体を強制することはできず、日本政府もあくまで新型コロナウイルスのワクチン接種は奨励するという立場にとどまっています。

ワクチンの未接種で従業員は解雇できるか

新型コロナウイルスのワクチンを接種しないことによって従業員を解雇できるとすると、その会社では事実上のワクチン接種の義務化とも言えます。このようなことが可能かと言えば、現状では難しいでしょう。

日本では、労働者の解雇は容易ではなく、かなりの理由がなければ一方的に解雇することは困難であり、争われば解雇は無効だと判断さえる場合が多いと言えます。

例えばの例ですが、ワクチン接種を拒否しながら、感染症対策をせずに遊びに行き、新型コロナウイルスに感染し、症状が出ながら出勤して、多くの他の従業員に感染させ、結果として会社業務に多大な損害を加えた、といったような特殊な場合であれば、事情によっては懲戒解雇などができる可能性はあります。

しかし、単純に新型コロナウイルスのワクチン接種を拒否しているというだけでは、会社業務に何ら損害を与えているわけではなく、漠然とした不安感の問題ですので、解雇は難しいでしょう。

では、必要性があればどうでしょうか。例えば、医療従事者など新型コロナウイルスに感染するリスクが高く、ワクチン接種を受ける必要性が高い職種であれば、解雇までいかなくても、患者などと接する職種から接しにくい職種に配置転換する必要性が高いと言えなくもない、と考えられます。

会社(雇用者)は、通常、配置転換に関する大きい裁量権がありますので、こういった配置転換なら考えられますが、配置転換に伴って待遇が悪化すると、紛争になる可能性があります。

ワクチンの接種を雇用の条件にできるのか

雇用する前の場面で、新型コロナウイルスのワクチンを接種していることを雇用の条件とするということは、どうでしょうか。

雇用の条件として一定の資格が必要な場合(例えば普通自動車免許など)、ある資格を有することを雇用の条件とすることは当然に行われています。

職業安定法や厚生労働省の告示では、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などの収集は原則として認められないことになっています。

この「社会的差別の原因となるおそれのある個人情報」が具体的に何を指すかは明確ではありませんが、会社(雇用者)にも他の従業員を守る安全配慮義務がありますので、新型コロナウイルスという疾病がまん延しているという状況を考えると、職種によっては雇用の条件とすることもあり得ない話ではありません。

ただし、現状、厚生労働大臣は、ワクチン接種を雇用の条件とすることは認めない見解を出しているようですので、この点にも留意する必要はありそうです。


次のようなご心配事がある場合は、名古屋総合リーガルグループがお役に立てますので、ぜひお電話ください。

  • 労務問題が心配なので、雇用契約書と就業規則について相談したい。
  • 従業員を解雇しなければならないが、どのようにしたらよいのか。
  • 従業員から残業代を請求されて困っている。
  • お客様・営業先からクレームを受けて困っている。
  • 契約書を作ったのでチェックしてほしい。
  • 取引先から契約書をもらったが、不利なものでないか不安なので相談したい。
  • ネット上で悪い評判を書かれて困っている。
  • 売掛金を回収したい。
  • 新しい事業を考えているが法的に気をつけるべき点を相談したい。

当事務所のご相談受付はこちらです。お気軽にお問合せ下さい。

 ⇒ ご相談のご予約 052-231-2601

 または、メールフォームからお願いいたします。


弁護士法人名古屋総合法律事務所および税理士法人名古屋総合パートナーズはともに経営革新等支援機関に認定されています。

名古屋総合リーガルグループでは、中小・中堅企業の実情も十分考慮した上で、企業が抱える労務問題、取引先や顧客からのクレーム・トラブル、著作権侵害などのリスクから会社を守る方法を提案しています。

残業代やセクハラ、解雇やうつ病などの労務問題に頭を抱えていらっしゃる経営者様も多いと思います。

多くの問題は、法律の知識をもって対策をしておくことで未然に予防することができます。

顧問契約等の制度を利用していただければ、わざわざ来所していただかなくても電話やメールで気軽に相談していただくことができます。

ぜひ下記からお気軽にご連絡下さい。

▼法人様向けホームページはこちら
https://www.nagoyasogo-kigyo.com/

▼私たちが企業法務で選ばれる理由
https://www.nagoyasogo-kigyo.com/reason/

▼顧問契約をお考えの方はこちら
https://www.nagoyasogo-kigyo.com/general-counsel/

メールマガジンバックナンバーへ戻る

ご相談予約はこちらまで/お電話でのお問い合わせはこちら/TEL.052-231-2601/相談時間/平日 9:00-18:00/土曜 9:30-17:00/夜間 火曜・水曜 17:30-21:00/ご相談の流れはこちら

ご相談の流れはこちら

業務案内

電話・オンライン相談はじめました

マチ工場のオンナ

名古屋総合法律事務所の理念

解決事例

企業法務ブログ

経営品質・人材育成ブログ

-->