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VOL.3 2014/01/24  【勤務態度不良を理由として解雇できるのか?】

本号の内容

  • 日本ヒューレット・パッカード(解雇)事件から学ぶ
  • 平野弁護士よりご挨拶 ~「反社条項」を入れていますか~
  • 編集後記

日本ヒューレット・パッカード(解雇)事件から学ぶ

弁護士 浅野了一

人事労務担当者に求められる資質とは。

「企業とはなにか」「自社の目的・目標はなにか」を常に念頭に置き、
マネジメントされる側の人を深い洞察力をもって理解した上で、
粘り強く真摯に対応することであると思います。
人としての総合力が求められます。

今回は、問題行動を繰り返す社員に対し、人事処分を行う際の
ポイントを、日本ヒューレット・パッカード(解雇)事件から学びましょう。

この事例は、勤務態度が非常に悪く、改善の見込みがないことを
理由とした解雇が解雇権濫用にあらたないとされました。

事案の概要

日本ヒューレッド・パッカード株式会社(以下H社という)に雇用されていた
元従業員Xが、解雇の効力を争い、会社に対して、


①労働契約上の地位にあることの確認
②解雇後の給与・賞与等の支払い

を求めました。


H社側は、

  • Xが約5年という長期間に渡って多くの業務指示違反や不適切な言動を繰り返した。
  • 日常的な指導はもとより、人事評価を通じた指導や教育を実施してきたにも関わらず、
    改善が見られなかった。
→ 就業規則で定めた解雇事由「勤務態度が著しく不良で、改善の見込みがないと認められるとき」 に該当すると主張



一方、Xの主張は、

  • Xを営業職に配置しなかった。
  • Xが発症したうつ病への対応が不適切だった。
  • Xを排除する意図を持って不当な対応を長年されてきた。

判決

一審は、原告Xの請求が棄却されました。
(東京地裁 平成24.7.18判決)


Xは控訴し、続く東京高裁での判決は、
「主文 本件控訴を棄却する。・・・」
解雇を有効とし、一審判決を維持しました。
(東京高裁 平成25.3.21判決)

判旨のポイント

本件は、Xの勤務状況が、解雇事由である「勤務態度が著しく不良で、
改善の見込みがないと認められるとき」に該当するかが主に争われました。


認定された主な事実は、

  • Xは、H社のFRUリスト(保守部品のプライスリスト)を独断で分割・増加させ、さらに誤情報を掲載。
  • FRUリストについて顧客Q社からクレームが寄せられたが、自らの意見に固執、訂正等の対応を取らなかった為、担当交代を要請するクレームが発生。
  • XはH社の倫理委員会に対し、「顧客要求という架空の理由により配置転換の命令を出したパワーハラスメント」である旨を申し出た。 しかし、同委員会からクレームは実在したとの報告を受け、「あまりにも稚拙なReport」など非難するメールを送信。
  • Xは上司らが謝罪のためにQ社を訪問することを中止するよう要求し、妨害した。またQ社にに対し「倫理委員会から問い合わせ等入っていないか」などと電話を2回かけ、同社からさらにクレームが入った。
  • 上司から残業する際は事前申請し、できなかった場合は後日報告するよう何度も指示を受けたにも関わらず、申請・報告を行わずに必要性の低い残業を繰り返した。

そして、以下のような判断が下されました。


  • Xは担当業務の遂行能力が不十分であった上、上司から業務命令や、指摘・提案を受けたりしても、自らの意見に固執してこれらを聞き入れない態度が顕著であった。
  • Xの言動が、取引先との間の信頼関係を毀損したばかりではなく、H社の会社内部の円滑な業務遂行に支障を生じさせた。
  • H社は、上司による日常的な注意や、人事評価を通じた指導や教育によって、態度を改善させようと試みたが、Xは納得せず、最後まで自らの態度を改めることはなかった
  • Xのうつ病などに関する主張については、労務軽減等の配慮を必要とするほどの精神的不調を抱えていたと認めることはできないし、H社が不当な対応を繰り返していたと認めることもできない。

本件裁判例から学ぶこと

  1. 人事評価と解雇事由の関係性

  2. Xは解雇前の直近6年間での人事評価が計5回、一番低いI評価(該当者は3~5%)であった為、数回にわたり改善プログラムを受けています。

    また H社は、人事評価制度としてPPR制度
    (※Performance Plan & Review : 上司と部下がその期の目標を設定し、定期的に進捗確認し、期末に上司が部下に評価を伝えるもの。)
    などを用い、業務遂行能力や勤務態度の改善を試みていました。

    本件では、人事評価が連続して最低評価であることだけでは、解雇できません。
    また、問題行動についても、一つ一つを取り上げれば、解雇に相当するほど重大なものではありませんでした。

    しかし、そのような事実を細かく積み重ね、解雇が有効になりうることを示した重要な裁判例といえるでしょう。

    仮に、Xがメールや電話など痕跡を残さない対応をしていたなら、
    立証は大変難しく、本件のような結果は得られなかったと思います。

    粘り強く改善に向けた対応を重ねつつ、一方では、常に記録と証拠の収集を行いましょう。


  3. 合同労組(企業外労働組合)への対応

  4. Xが所属している組合は、東京管理職ユニオンでした。

    H社は、別件でも解雇が争われており(次回ご紹介します)、
    その件では、同じく合同労組である日本労働評議会に所属しています。

    近年、合同労組のよく言えば活躍が、悪く言えば行き過ぎた行為が目立っています。

    合同労組が企業に対して無理難題を押し付けて、不要不急のトラブルを
    生じるさせるなど、社会に与える影響は、等閑視しえないものになりつつあります。

    平成20年の労働委員会の不当労働行為の新規申立数のうち、
    合同労組からの申立は、全体の68.7%を占めていることからも明らかです。
    (弁護士 河本毅著 「労働紛争解決実務講義」第3版より)

    合同労組と使用者側とは、根本的に企業の存在意義が異なっています。
    噛み合うことはありません。

    団体交渉の申入れがあった場合、最初の対応が肝心です。
    合同労組への対応は簡単なものではありません。
    入念な準備が必要ですので、早期に労働法に明るい弁護士のアドバイスを受け、
    解決にあたりましょう。

平野弁護士よりご挨拶 ~「反社条項」を入れていますか~

皆様、はじめまして。
弁護士法人名古屋総合法律事務所 弁護士の平野秀繁と申します。

経営者の皆様と真摯に向き合い、
お役にたてるよう日々努力していく所存でございます。
ご指導ご練達の程宜しくお願い致します。

御社では、反社会勢力の対策を取っておられますか。

先日も、みずほ銀行が反社会勢力と
融資取引を行っていたとして行政処分を受けました。

現在、銀行等の金融機関は、反社会勢力対策に
非常にナーバスとなっております。

そこで、不運にも、御社が気づかずに反社会勢力との取引をしてしまい、
その事実が銀行に発覚すると、銀行から取引停止の上で
一括弁済などの措置を取られる可能性があり、大変な事態になりかねません。

そうは言えども、取引先が反社会勢力に関わっているかを調査することは、
コストがかかり、中小企業においては困難であるのが現状です。

実は、容易で、かつ有効な対策がありますのをご存知でしょうか。

それは、取引先との契約書等に、
『反社会勢力排除条項』 を入れておくという対策です。

反社会勢力条項(「反社条項」と略されます。)とは、
取引先が反社会勢力と関わりがないことを確認した上で、
関わりが発覚した場合には、取引の解除及び損害賠償ができるという条項です。

契約書にこの条項が含まれていると、
後に取引先が反社会勢力だと発覚した場合に、銀行や行政機関に対して、
反社会勢力対策をしていることを主張する際に、証拠となるものです。

反社会勢力条項は、法律業界では今や常識となっていますが、
未だに普及しておらず、不要なリスクを抱えている企業が多いのが現状です。

これを機に、契約書の見直しをご検討してみてはいかがでしょうか。

編集後記

先週末に兄と甥(姉の息子)が二人で関西から名古屋にやってきました。

甥はまだ小学1年生ですが、親と離れて旅行するのも怖くないようで、
寂しがることもなく むしろハイテンションで遊びに来ました。

そして、みんなでリニア博物館に行ってまいりました。
(※先週末はとても寒く、甥がしきりに「ナガシマスパーランド行きたい!」
と言っていましたが、却下してリニア博物館に行ってまいりました ^ ^; )

最初はぶーぶー文句を言っていましたが、着いた途端
楽しそうに電車を眺めたり、ジオラマに見入ったりと大変楽しそうでした。

その後も、コメダ珈琲や大須観音、あつた蓬莱軒、名古屋城などを
観光して、みんなで名古屋を満喫しました。

社会人になり、家族や親せきと旅行する回数は減りましたが、
こうして機会を作り、今後も楽しいひと時を過ごしたいと思いました。 (中野)

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