脅迫

はじめに

企業を経営するにあたり、取引のトラブルや代金のトラブル、労働問題といった民事上のものだけでなく、刑事上の問題にも遭うことがあります。
一例としては、企業が脅迫を受け、何らかの金銭的・経済的な要求を受けることもあります。

脅迫

3種類の脅迫

脅迫といっても、いくつかの類型が考えられます。

企業側に落ち度のない脅迫

1つ目は、企業に何の落ち度もない状態で、脅迫を受けることがあります。例えば、ハイジャックなど企業が運営する場所、施設、建物などを占拠され、利用者を人質にして何らかの要求がされる場合があります。

このような重大な問題になりますと、一企業では対応できないと考えられますので、ここまでくると警察や国・自治体との問題になってくるでしょう。
このような場合だけでなく、企業が作っている製品に何からの欠陥を生じさせ、それを盾に金銭的・経済的な要求をされることがあります。

過去にあった代表的な例としては、グリコ・森永事件など、製造した食品に毒物を入れられ、そういった行為を止めてほしければ金銭を支払え、といったものが考えられます。

このような脅迫は、製品を作る企業には何の落ち度もありませんが、どのような企業も突然、このような事件に遭遇する可能性は否定できません。

このような場合、金銭の支払いに応じますと、延々と同じことの繰り返しになる可能性もありますので、はやり警察に相談し、しかるべき対処をした方がいいでしょう。併せて、一時的に製品の出荷停止なども検討する必要がありそうです。

業務外での行為に対する脅迫

2つ目は、従業員などが、会社業務とは関わりのないところで問題を起こし、そのことを公表しない代わりに、金銭的・経済的な見返りを要求されるような脅迫があり得ます。

会社業務と関わりのないところで、従業員が行った行為は、法的には勤務先の企業とはかかわりがないと考えられます(ただし、使用者責任を問われる場合もあります)。

そうはいっても、従業員が何らかの法的・社会的に非難されるような行為を行った場合には、その勤務先も道義的な責任を追及されたり、少なくともイメージの低下を招く可能性があります。

これは、その企業の業務内容にもよりますが、イメージが重要な業界の場合には、売上などが低下して、企業経営に大きな影響を与える可能性があります。

このような場合には、まずは問題となった従業員に事実関係を確認したり、客観的な資料の提示を求めた上で、事実関係を確認し、就業規則上の問題があれば、従業員に対してしかるべき処罰をすることが考えられます。

その上で、金銭の支払いに応じますと、延々と同じことの繰り返しになる可能性もありますので、はやり警察に相談し、しかるべき対処をした方がいいでしょう。

企業側に落ち度のある脅迫

3つ目は、企業そのものに問題があり、それを理由に脅迫を受ける場合が考えられます。例えばですが、企業の作った製品に欠陥があり、その欠陥を公表されたくなければ金銭を支払え、といった脅迫や、企業が粉飾決算など会計上の問題があり、それを公表されたくなければ金銭を支払え、といった脅迫が考えられます。

このような脅迫は、原因が企業そのものにあることから、企業経営者にとっては、脅迫に屈して、金銭を支払って隠してしまおうという誘因が強いと言えます。

しかし、一度金銭を支払ってしまいますと、延々と同じことが繰り返される可能性があり、いずれは限界が訪れるのではないかと予想されます。また、製品の欠陥や会計上の粉飾などは、いずれは別の誰かによって知られてしまったり、最近では内部通報によって行政当局に通報される可能性もあります。

そのような企業が自ら公表するのではなく、第三者によって発覚しますと、イメージが非常に悪くなることと、発覚するまでに状況が悪化してしまう(例えば、欠陥製品がさらに広がり、多数の消費者被害につながってしまう等)可能性があります。

従いまして、このような類型の脅迫の場合には、脅迫に応じて、隠してしまおうという誘因が強いと言えますが、脅迫を受けたことを契機として、根本的に解決すべきでしょう。

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