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VOL.128 2023/5/9 【クラウドファンディング・カンパと税金】


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弁護士法人 名古屋総合法律事務所


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vol.128本号の内容

2023年5月9日

  • クラウドファンディング・カンパと税金

名古屋総合法律事務所

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はじめに

近頃、色々な費用をクラウドファンディングで広く集めるということが広がりだしています。クラウドファンディングとは、明確な定義があるわけではありませんが、不特定多数の人が、インターネットやSNSなどを通じて、特定の目的のために、個人、会社、各種団体に資金提供などを行うことを指しているようです。

このような資金集めに関して、その目的とするところにより、大きく分けると「購買型」、「投資型」、「寄付型」といった類型に分けられるようです。
このようなクラウドファンディングで集めた資金に対して、税金はかからないのでしょうか。

現在、明確なガイドライン等はないようですが、その目的によって変わってくるとは思われますので、理屈からしてどのようなことが考えられるのか検討してみたいと思います。


(1)「購買型」クラウドファンディング

「購買型」とは、特定の目的を物の開発・販売やサービスの開始・提供として、資金提供者が、資金調達者から、物やサービスの提供を受ける類型を指します。

この場合、クラウドファンディングといっても物やサービスの売買と同じように考えられますので、購買型のクラウドファンディングの場合、調達された資金は事業上の収入(売上)に当たると考えられます。
そうすると、資金提供者に対して提供する物やサービスは、事業上の経費に当たると考えられますので、資金調達者は、売上から経費を引いた残りに対して所得税・法人税などの利益に関する税金を課せられるのではないかと予想されます。


(2)「投資型」クラウドファンディング

「投資型」とは、一定の投資目的のために資金を集め、資金調達者がそれを運用し、資金提供者に対して配当、利息などのリターンを返すといった類型を指します。

この投資型クラウドファンディングは、貸付という形で行われることが多いようなのですが、貸付であれば返済する必要がありますので、貸付金自体は資金調達者の売上・利益ではなく、資金調達した段階では税金はかからないと考えられます。
一定の投資目的でうまくいき、何らかの利益を発生させることができれば、資金調達者はその利益に対して、所得税を支払う必要があると考えられます。
ただしこのような投資型のクラウドファンディングの場合、仮に借金という形態をとっていたとしても、出資法や金融商品取引法などの税金以外の規制に抵触する可能性がありますので、行う際には十分に注意が必要でしょう。


(3)「寄付型」クラウドファンディング

「寄付型」とは、資金調達者が、一定の目的を設定して資金提供者から資金を募るものの、その資金は一定の目的の達成のために使用され、資金提供者には特段の物やサービスの提供、見返りがないといった場合を指します。

寄付型のクラウドファンディングの場合に、一定の目的が達成できなければ返金するかどうかにもよりますが、返金するなら資金調達者に利益はありませんので、課税はないと予想されます。
他方、一定の目的を達成できたか、できないかによらず、一切の見返りもなく、返金もない場合に、これは単純な贈与ではないかと考える余地があります。
単純な贈与だとすると、もらったお金を何に使うかはもらった側の自由なのですが、1年間(1月1日から12月31日)までの贈与が110万円を超えますと、超えた部分に関して贈与税が課税されることになります。

例えば動物の救済などの事業のためにクラウドファンディングを行い、見返りはないけれども、調達された資金が全て事業のために使用されたとすれば、利益がないので所得税等は課税されないという場合はありそうです。
しかし、そのような事業として行っているわけではなく、個人的な目的の達成を目指すもの(例:裁判のため裁判費用の提供を求める、難病治療のために海外渡航費などを求める)であれば、贈与に当たり、贈与税が課税されないのでしょうか。

一説によれば、相続税法基本通達21-3-9(社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い)に該当して非課税になるのではないか、という説もあるようです。
この国税庁の通達は「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。(昭50直資2-257改正、平15課資2-1改正)」という内容で、一定の目的の範囲内で、贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当であれば、贈与に該当しても贈与税を課税しない、というルールがあります。
社会通念上、葬儀の際の香典や、お中元・お歳暮などの少量多品種の贈答品に課税するときりがないと考えられることからすれば、このようなものは非課税でもやむを得ないとは思われます。
しかし、グラウドファンディングで広く集めた結果、金額が多額になった場合には、このような非課税が妥当となるでしょうか。

その他の考え方としては、クラウドファンディングの場合、あくまで一定の目的を達成するために資金提供を呼び掛けるわけですから、この一定の目的を達成する(ように努める)ことが、一種の受贈者の負担になっているという考え方もできるのではないかと思われます。
その場合、この一定の目的の達成が贈与の負担となり、負担付き贈与であるという理解もできそうです。
その場合、国税庁のタックスアンサーでは、個人から負担付贈与を受けた場合は、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に贈与税が課税されることになると解説されています。
このような負担付き贈与だと理解すれば、贈与額(調達された資金額)から一定の目的達成のためにかかった費用を除き、残った額に対して贈与税が課税されるという理解もできます。
ただし、贈与税の課税は1年毎に判断されることが原則ですので、1年以内に使い切ることができず、一定の目的の達成に数年間又は長期間かかる場合、負担が発生し続ける間は贈与額が確定しないのか、という問題も出てきそうです。


おわりに

このようなクラウドファンディングの問題は、まだはっきりしたことが分かりませんので、今後の国税庁などの動きに注意が必要でしょう。


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