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VOL.129 2023/6/7 【自動車(マイカー)、自転車等による通勤の許可制と通勤災害保険給付】


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vol.129本号の内容

2023年6月7日

  • 自動車(マイカー)、自転車等による通勤の許可制と通勤災害保険給付

名古屋総合社労士事務所
社会保険労務士 増田友子

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はじめに

皆さんは、毎日どのように通勤されていますか。公共交通機関(電車、バス等)、自動車、自動二輪車、原動機付自転車、自転車・・・現代は、江戸時代には考えもつかない方法で毎日移動していますね。

さて、労働契約に従って労務を提供するための大前提として、通勤することが必要になることが多いかと思いますが、どのよう手段で通勤するかは、原則的には労働者の自由と考えられています。ただし、就業規則により通勤手段を定められている場合には、従業員はその内容に従って通勤することが求められます。就業規則に定められた内容が、合理的なものである限り、労働契約の内容と解されるためです。


自動車(マイカー)、自転車等による通勤の許可制

さて、労働契約に従って労務を提供するための大前提として、通勤することが必要になることが多いかと思いますが、どのよう手段で通勤するかは、原則的には労働者の自由と考えられています。ただし、就業規則により通勤手段を定められている場合には、従業員はその内容に従って通勤することが求められます。就業規則に定められた内容が、合理的なものである限り、労働契約の内容と解されるためです。

この際、通勤に使用する交通用具について、当該車両にかかる整備、保険の条件等を会社として確認しないままにしていますと、通勤途上における万が一の事故の際、従業員や事故相手に対し、会社としての責任が生じる、もしくは大きくなってしまう可能性があります。よって、交通用具(自動車、自動二輪車、原動機付自転車、自転車、キックスクーター等)を使用して通勤させる場合には「許可制」とすることが望ましく、その旨、就業規則に明記しておくことが重要になります。。

いずれの交通用具を通勤の手段として許可するか、その許可に際しての要件の定め方にも留意が必要です。運転免許の有無や、交通違反歴の有無、自賠責保険、任意保険等の保険の加入要件などが考えられます。 一度与えた許可の定期的な管理(いわゆる更新制とするか否か)や取り消す際の要件として何を定めるかについても、ぜひ定めておきたいものです。 例えば遅刻が繰り返される社員は交通事故を起こす可能性が高いと考えられますから、許可取消要件に加えることも検討してよいでしょう。 また、通勤に際し使用を禁止すべき交通用具があるようであれば、その範囲をはっきり明記しましょう。昨今は、比較的小型で出力のあるリチウムイオンバッテリーが普及しています。 一昔前では考えられなかった種類の交通用具が販売されています。危険性を考慮し、ある一定の用具については、許可用具から排除するといった考え方も可能であると考えられます。


交通用具と通勤災害保険給付の関係

次に、通勤に使用する交通用具と通勤災害保険給付の関係についてです
会社が許可している通勤方法でなければ、通勤途上で事故に遭った場合に、労災保険が適用されないと思い込んでいませんか。 例えば、地下鉄を使用して通勤する、と会社に申請していたのにもかかわらず、自転車で通勤していたところ、通勤途上で自転車事故を起こし負傷した場合です。 この場合、会社の許可を得ずに自転車で通勤していたのだから、労災保険は適用されない、ということではない点に注意が必要です。 偽った通勤方法を申請し、通勤手当を不当に得ていたことについて、会社が当該従業員に対し、何らかの処分をすることは考えられますが、その事実を以って、労災保険の給付関係に制限が生じるものではありません。

通勤途上の通勤災害とは、通勤による負傷、疾病、傷害または死亡(労働者災害補償保険法7条)を指しています。 この「通勤」とは「労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を合理的な経路及び方法で行うもの」(同法7条2項)とされています。 そのため、通勤途上での事故が通勤災害とされるか否かは、自宅から就業の場所へ(もしくはその逆)の移動行為が「通勤」の要件を満たしているかどうかについて考慮されることになります。 当該移動が、通勤とされるための要件を確認しておきましょう。


通勤とされるための条件

◆労働者災害補償保険法 一部抜粋

第7条 この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
第一項第三号 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。)に関する保険給付
第二項 前項第三号の通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

一 住居と就業の場所との間の往復

二 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

三 第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

第三項 労働者が、前項各号に掲げる移動の経路を逸脱し、又は同項各号に掲げる移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の同項各号に掲げる移動は、第一項第三号の通勤としない。 ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。

◆東京労働局ホームページより転載
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/tuukin.html

1「就業に関し」とは
通勤とされるためには、移動行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることが必要です。
したがって、被災当日に就業することとなっていたこと、又現実に就業していたことが必要です。
この場合、遅刻やラッシュを避けるための早出など、通常の出勤時刻と時間的にある程度の前後があっても就業との関連性は認められます。

2「住居」とは
労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等の場所で、本人の就業のための拠点となるところをいいます。
したがって、就業の必要上、労働者が家族の住む場所とは別に就業の場所の近くにアパートを借り、そこから通勤している場合には、そこが住居となります。
さらに、通常は家族のいる所から出勤するが、別のアパート借りていて、早出や長時間の残業の場合には当該アパートに泊り、そこから通勤するような場合には、家族の住居とアパートの双方が住居と認められます。

3「就業の場所」とは
業務を開始し、又は終了する場所をいいます。
一般的には、会社や工場等の本来の業務を行う場所をいいますが、外勤業務に従事する労働者で、特定区域を担当し、区域内にある数か所の用務先を受け持って自宅との間を往復している場合には、自宅を出てから最初の用務先が業務開始の場所となり、最後の用務先が業務終了の場所となります。

4「就業の場所から他の就業の場所への移動」とは
複数の異なる事業場で働く労働者については、一つ目の就業の場所での勤務が終了した後に、もう二つ目の就業の場所へ向かう場合の移動をいいます。

5「住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動」とは
転任に伴い、当該転任の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復距離(片道60キロメートル以上等)を考慮して困難となったため住居を移転した労働者であって、一定のやむを得ない事情より、当該転任の直前の住居に居住している配偶者と別居することとなったものの居住間の移動をいいます
また、配偶者がない場合の子との別居、並びに配偶者及び子がない場合の父母又は親族(要介護状態にあり、かつ、当該労働者が介護していた父母又は親族に限る。)との別居についても同様に取扱います。

6「合理的な経路及び方法」とは
就業に関する移動の場合に、一般に労働者が用いるものと認められる経路及び方法をいいます。
合理的な経路については、通勤のために通常利用する経路であれば、複数あったとしてもそれらの経路はいずれも合理的な経路となります。
また、当日の交通事情により迂回してとる経路、マイカー通勤者が貸切りの車庫を経由して通る経路など、通勤のためにやむを得ずとる経路も合理的な経路となります。
しかし、特段の合理的な理由もなく、著しい遠回りとなる経路をとる場合などは、合理的な経路とはなりません。
次に、合理的な方法については、鉄道、バス等の公共交通機関を利用する場合、自動車、自転車等を本来の用法に従って使用する場合、徒歩の場合等、通常用いられる交通方法を平常用いているかどうかにかかわらず、一般に合理的な方法となります。

7「業務の性質を有するもの」とは
以上説明した1から6までの要件をみたす往復行為であっても、その行為が業務の性質を有するものである場合には、通勤となりません。
具体的には、事業主の提供する専用交通機関を利用する出退勤や緊急用務のため休日に呼出しを受けて緊急出動する場合などが該当し、これらの行為による災害は業務災害となります。

8 「移動の経路を逸脱し、又は中断した場合」とは
逸脱とは、通勤の途中で就業や通勤と関係ない目的で合理的な経路をそれることをいい、中断とは、通勤の経路上で通勤と関係ない行為を行うことをいいます。
しかし、通勤の途中で経路近くの公衆便所を使用する場合や経路上の店でタバコやジュースを購入する場合などのささいな行為を行う場合には、逸脱、中断とはなりません。
通勤の途中で逸脱又は中断があるとその後は原則として通勤とはなりませんが、これについては法律で例外が設けられており、日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、逸脱又は中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となります。
なお、厚生労働省令で定める逸脱、中断の例外となる行為は以下のとおりです。
(1) 日用品の購入その他これに準ずる行為
(2) 職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
(3) 選挙権の行使その他これに準ずる行為
(4) 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為


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