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VOL.134 2024/1/15 【インターン生は労働者に当たるか】


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vol.134本号の内容

2024年1月15日

  • インターン生は労働者に当たるか

名古屋総合法律事務所
弁護士 杉浦恵一

インターン生は労働者に当たるか


はじめに

近年では、学生がインターンとして企業に行って活動することが定着してきている印象があります。
インターンシップに関しては法律上の定義は特にありませんが、一般的な意味としては、在学中の学生が、将来のキャリアや職業選択のために、職業・職場を体験することといった意味で使われるようです。

この意味からは、あくまで仕事を体験するといった程度の意味で、具体的に働くことは想定されていないと考えられます。

他方、インターンを実施している企業の中には、職業・職場体験の中で、実際にその企業の社員が行っているような仕事をさせてみる企業もあるようです。

職業・職場の体験となれば、実際に社員が行っている仕事をしてみるというのも職業・職場の体験に含まれそうですが、その場合、労働をさせているのか、労働者に当たるのかどうかの問題が出てきます。

労働者に当たるのであれば、労働基準法や最低賃金法などが適用されることになります(労働契約書等を作っていない場合であっても)。
そうなると、インターン生と労働者の区別は、どのようにつけるのでしょうか。

インターン生と労働者の区別とは

この点で参考になるものとして、旧労働省の通達(平成9年9月18日基発第636号)では、以下のような説明、通達が出されています。

「一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法9条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生の間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられる」

この点から要素を抜き出しますと、①生産活動に従事するなど利益・効果を企業が受けている、②使用従属関係がある、という2点がポイントになりそうです。


生産活動に従事し、その作業によって企業を利益や効果を受けている場合としては、例えば何かを作ったり、運んだりと、その企業の通常の業務(社員が普段行っている営業等の活動)に当たれば、その企業はその作業による利益等を受けていると言えそうです。

逆に、単なる説明、見学やその企業に直接の利益をもたらさないような活動(経営計画等の検討、研修など)であれば、この点には当てはまらないように思われます。

次の使用従属関係というのは、どこまでの関係を指すのか必ずしも明確ではありませんが、企業の始期・命令下にあるか、命令に従わなければならないか、何らかの義務・ノルマが課されているか、といったような点から判断されることが多いとは思われます。

逆に、課題はあるが必ずしもこなす必要や義務はなく、成果を上げる必要性がない、課題を拒否できるということであれば、指揮命令下になく、使用従属関係にはないということが考えられます。

インターン生が労働者にあたる場合の注意点

インターンシップを行い、インターン生を受け入れる場合であっても、普段から企業が業務として行っている単純作業などをさせた際には、労働者として労働基準法や最低賃金法等の適用、つまり給料等が発生する可能性がありますので、この点には注意が必要でしょう。

また、労働者に当たることになれば、インターン中に事故などが起こった場合の労災保険の適用なども考えられますし、場合によっては社会保険料や源泉徴収の義務も発生する可能性があります。

他方、労働者ではないとなったとしても、インターン中には企業の安全配慮義務があると考えられますので、インターン生に何らかの事故等が発生した場合には、企業の責任が問われる可能性があります。

逆に、インターン生がインターン活動中に第三者に損害を発生させてしまい、企業が使用者責任などを問われる危険性もあります。
そのような場合に備えて、企業活動の賠償責任保険に加入しておいた方がいいかもしれません。


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