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VOL.160 2026/5/14 【新卒者の就職活動と「オワハラ」問題】


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vol.160本号の内容

2026年05月14日

  • 新卒者の就職活動と「オワハラ」問題

名古屋総合法律事務所
弁護士 杉浦恵一

新卒者の就職活動と「オワハラ」問題

近年、少子化による若者の採用困難から、新規の学校(大学等)の卒業生に対する「オワハラ」が問題になっているようです。日本経済新聞の令和8年5月1日の記事によれば、新卒者でもエージェント(仲介者など)を使うことがあり、この新卒エージェントからの「オワハラ」が問題になっているようです。

「オワハラ」に法的な定義があるわけではありませんが、「就活終われハラスメント」の略語で、一般的には、企業などが、新規学校卒業者等の採用において、内定や内々定を行うことと引き換えに、学生の意思に反して他の企業などへの就職活動の終了を強要するようなハラスメント行為とされています(厚生労働省の解説による)。

例えばバブル期なども採用困難な状態にあり、企業が内定者の囲い込みを行うといったようなことがあったようです。このようなことも、一種の「オワハラ」と言えるかもしれません。

企業は組織体制や事業展開から一定の採用予定人数を想定しており、そのような計画に沿って採用の募集を行ってきていると思われます。そうしますと、景気の改善期や拡大期などでは採用募集の人数が増え、人の取り合いになり、企業の採用担当者からの「オワハラ」があることは、以前から指摘されているところです。


今回の報道記事では、学生の就職活動を支援する新卒エージェントから「オワハラ」を受ける例が目立ってきているということで、企業の採用担当者からだけではなくなってきている点が注目されるところです。

では、この「新卒エージェント」とは、どのような立場の企業・人でしょうか。こちらを法的に位置付ければ、職業安定法上の有料職業紹介事業者に該当するのではないかと思われます。

このエージェントの立場としては、就職活動をしている学生がエージェント(会社)に登録し、新卒エージェントは学生・就職活動生に対して企業の紹介や就活のサポート(エントリーシートの添削、面接対策等)を行い、就活エージェントは契約した就活生を募集する企業と契約して就活生を紹介し、企業が就活生を採用すれば、採用した企業が新卒エージェントに成功報酬を支払う、という関係にあるようです。

つまり新卒エージェントは、あくまで企業から得られる成功報酬のために新卒の就活生のサポートを行い、企業に紹介をしているという状況にあります。

このような場合に、どのような問題があるかと言えば、新卒エージェントが報酬を得るためには企業に紹介して、実際に企業が就活生を採用する、つまり雇用契約を結ぶ(少なくとも内定などが出される)ことが必要になってきます。

そうすると、新卒エージェントはどうしても学生の意向よりも企業の意向や報酬を優先し、報酬の獲得のため手早く就職活動の終了=雇用契約の締結等を目指してしまうことになります。

就活生がその新卒エージェントとは契約していない企業に就職してしまうと、成功報酬制のため新卒エージェントは報酬を得られないことになり、それまで就活生のサポート等にかけたコストが回収できなくなってしまう、という関係にあります。

このようなことがあるため、企業が内定を出した後で就活生が内定辞退をしようとすると、新卒エージェントから、それまでにかかった費用、コストを請求するといった脅しのような発言をされたり、内定が出た時点で他の就職活動中の企業に対して選考を辞退するように連絡するように強いられる、といったような問題が発生しているようです。

もちろん、このように就職活動を妨害されるような場合には、職業選択の自由(※憲法22条1項「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」)がありますので、場合によっては強要罪(※刑法223条)に該当したり、民事上の不法行為に該当する可能性があります。

また新卒エージェントは、通常は有料職業紹介事業者として厚生労働大臣の許可を得ていると思われますが(※職業安定法30条1項「有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。」)、有料職業安定事業を営む者は、以下のとおり、求職者から原則として手数料を徴収してはならないとされています。

職業安定法32条の3 第2項

「有料職業紹介事業者は、前項の規定にかかわらず、求職者からは手数料を徴収してはならない。ただし、手数料を求職者から徴収することが当該求職者の利益のために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、同項各号に掲げる場合に限り、手数料を徴収することができる。」

そのため、後から求職者(=就活生)から手数料などの費用を請求することは、職業安定法に反している可能性が考えられます。


このような点もあるため、一般的には新卒エージェントからの請求に応じる必要性がある場合は少ないと思われますが、いきなり求められると社会経験の少ない新卒者は、勢いで応じてしまいかねないという問題はあります。

このように仕組み上、新卒エージェントは成功報酬制により就活生が速やかに紹介先企業に就職することに利益があるため、就活生と利害が対立する可能性もありますので、新卒エージェントを利用するにしても、どのような企業が運営しているのか、信用性、その他の要素に注意が必要でしょう。


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