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VOL.148 2025/3/17 【預金口座売買の危険性】


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vol.148本号の内容

2025年3月17日

  • 預金口座売買の危険性

預金口座売買の危険性

預金口座売買の実態

近年、振り込め詐欺やロマンス詐欺、フィッシング詐欺など、特殊詐欺の被害が多くなっています。警視庁の統計によれば、令和5年の特殊詐欺の認知件数は1万9038件あり、令和4年から1468件増加しているとのことです。

また、令和5年の被害額は約452億円となっており、平成26年頃から被害額は減少傾向にありましたが、最近はまた増えてきているようです。

令和6年では、被害額が約721億円と、令和5年に比べてかなりの金額が増えてきているようです。

最近ではNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)などの投資ブームもあり、有名人・著名人の名前が画像を勝手に使用されて投資するといって詐欺に遭うケースも増えているようです。

このような特殊詐欺で使用される振込先の口座は、売買された預金口座が多いようです。しかし、このような預金口座の売買(自分や他人名義の通帳・キャッシュカードを譲り渡す行為や、インターネットバンキングのログインID・パスワードといった情報を譲り渡す行為)は、犯罪収益移転防止法違反となる犯罪行為になります。

昔は1つの銀行で複数の預金口座を作ることができた例も多かったと思われますが、最近では1つの銀行では、よほど理由がない限りは1つの口座しか開設できないなど、マネーロンダリング対策などで規制が増えてきているようです。

しかし、インターネットバンクなど比較的簡単に口座を開設することができる銀行・金融機関もあるようですので、小遣い稼ぎなどで銀行口座を開設し、その口座を売買してしまう例も後を絶えないようです。

民事上の問題点

このような預金口座売買は、犯罪収益移転防止法違反の犯罪であるだけではなく、様々な不利益をもたらすことになります。

預金口座を売買し、それが振り込め詐欺などの特殊詐欺に使用された場合に、どのような流れになるのでしょうか。

一般的には、特殊詐欺の被害に遭ったことが分かった被害者は、警察に相談したり、弁護士に相談する等し、その口座のある金融機関に預金口座凍結の連絡をすることが多いでしょう。

預金口座凍結の連絡をすると、金融機関は預金の入出金状況を確認し、口座を凍結します。口座が凍結されると、金融機関は預金保険機構に通知し、振り込め詐欺救済法に基づいて凍結された口座の名義などが預金保険機構のホームページに公告されます。

※預金残高が1000円未満の場合には広告されません。

このように特殊詐欺に使用された預金口座は凍結される可能性が高いというデメリットがありますが、これだけではなく、特殊詐欺に使用される道具(口座)を提供し、詐欺を容易にした幇助犯(共犯)ということで、民事上の損害賠償請求をされる危険性があります。

そのため、小遣い稼ぎをしようと思ったところで、思いもよらない多額の負債を負ってしまうという可能性も発生してしまいます。

刑事上の問題点

これだけではなく、預金口座売買の目的で預金口座を作ることが詐欺罪に該当する可能性もあります。また、預金口座を売買等した人のリストが全国の金融機関で共有されているという話もありますので、以後、他の金融機関でも預金口座を作ることができなくなる可能性もあります。

預金口座を作ることができなくなりますと、例えば勤務先からの給料の振り込みができなくなりますし、クレジットカードの利用料の引き落としができず、結果としてカードを持つことができなくなることなど、生活にかなりの不利益を及ぼすことになるでしょう。

最近では給料のデジタル支払いが解禁されましたが、その利用をしている勤務先は必ずしも多くはありませんので、預金口座を持つことができないだけでかなりの苦労をすることになるでしょう。

このように預金口座を売買することは、リターンが少なく(一説には数万円程度)、リスクがあまりに高すぎる(数千万円超の賠償金を負う可能性や日常生活が困難になるおそれ)と言えます。


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