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2025年6月10日
名古屋総合法律事務所
弁護士 杉浦恵一
令和6年11月のニュースで、免許更新でゴールド免許の優良運転者から外されたことは不当だとして、一般運転者へと切り替える処分の取り消しを求めた裁判に対し、裁判所が、公安委員会に対し、優良運転者として更新するように命じた判決が出されたという報道がありました。
このような問題が争われた先例は過去にもあり、最高裁判所の平成21年2月27日判決(事件名は「優良運転免許証交付等請求事件」)でもこのような処分の取り消しを求める利益があると認められています。
訴訟の一般的な要件として、「訴えの利益」があります。
訴訟は、個人の法律関係や具体的な権利義務の有無の確認を目的とするとされております。そのため、抽象的なものであったり、個人の権利義務に直接かかわらないような内容であれば、裁判所は訴えの利益がないとして、具体的な判断を下すことができないと考えられています。
また、国や自治体の決定・処分を争うには、その決定・処分に「処分性」というものが必要だと言われています。具体的に「処分性」が何かを定義するには、諸説があり難しい問題ですが、その行為によって、直接、国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められている行為を指すことが多いのではないかと思われます。
例を挙げますと、行政(国や自治体)からの行政指導が挙げられます。行政指導は、行政手続法32条以下に定められています。この行政指導がなされた場合には、あくまで指導(任意に従うかどうかが問題になるもの)だということで、原則として行政指導の取り消しを求めて裁判を起こすことはできないと考えられています(例外あり)。
このような前提がありますので、ゴールド免許として更新を求める権利があるのかどうかが問題になっていました。
「ゴールド免許」というのは通称であり、5年間以上、無事故・無違反のドライバーに対して交付される免許証のことです。免許証の有効期間の部分が金色に見えることから、そのように通称されています。
道路交通法上は「優良運転者」として、同法108条の2の1項、11号に文言としては出てきます。
この優良運転者か、それともそれ以外の運転者(例えば一般運転者)かで特に立場、地位、受け得る法律上の利益が変わらなければ、ゴールド免許へ更新することを裁判で求めても意味・利益がないようにも思われます。
この点について、前に挙げた最高裁判所の判決では、「免許証の更新処分において交付される免許証が優良運転者である旨の記載のある免許証であるかそれのないものであるかによって、当該免許証の有効期間等が左右されるものではない」としています。
しかし、最高裁判所は、「道路交通法は、優良運転者の実績を賞揚し、優良な運転へと免許証保有者を誘導して交通事故の防止を図る目的で、優良運転者であることを免許証に記載して公に明らかにすることとするとともに、優良運転者に対して更新手続上の優遇措置を講じている」とし、優良運転者の制度の沿革も含めて考慮して、客観的に優良運転者の要件を満たす者であれば優良運転者である旨の記載のある免許証を交付して行う更新処分を受ける法律上の地位を有することを認めました。
最高裁判所は、優良運転者である旨の記載のある免許証を交付して更新処分を行うということを、単なる事実上の措置にとどまらず、交通事故の防止を図るという制度の目的を全うするため、個人の法律上の地位として保障するとの立法政策を特に採用したものだと解釈しています。
このような先例がありましたので、令和6年11月のニュースの事案でも、ゴールド免許として更新する権利があるか否かは争われなかったのではないかと予想されます。
ゴールド免許(優良運転者)制度が、単に免許証の色だけの問題であれば、法律上の利益の問題ではなく、争うことができないとされた可能性もありますが、道路交通法に文言として出てきたり、免許更新の講習時間が異なるなどの違いもありますので、その点が重視されたのだと思われます。
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