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VOL.157 2026/4/21 【日本弁護士連合会の人権救済申立制度とは】


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vol.157本号の内容

2026年01月07日

  • 日本弁護士連合会の人権救済申立制度とは

税理士法人名古屋総合パートナーズ
弁護士 杉浦恵一

日本弁護士連合会の人権救済申立制度とは

最近、某タレントが、テレビ局から受けた扱いに関して、日本弁護士連合会(以下、「日弁連」と表記します)に人権救済申立をした旨の報道がされていました。この申立てに対して、日弁連は、申し立てを扱わない決定をしたとのことですが、人権救済申立制度は一般的には聞きなれない制度ではないかと思われます。

この制度に関して、日弁連の該当のウェブページでは、申立に対して申立事実および侵害事実を調査し、人権侵害又はそのおそれがあると認めるときは、人権侵害の除去、改善を目指し、人権侵犯者又はその監督機関等に対して、措置等を行うという制度概要が説明されています。
この手続きは法的な強制力がなく、日弁連の判断によって何らかの強制執行などができるわけではありませんが、日弁連によれば、裁判などの司法手続にはなじみにくいけれども、正義に照らして救済の必要性の高い事件について、法的な判断を求めることができるとされています。

人権救済申立に対して、その必要性があると判断すれば、日弁連は、警告(意見を通告し、適切な対応を強く求める)、勧告(意見を伝え、適切な対応を求める)、要望(意見を伝え、適切な対応を要望する)といった措置をとることが可能なようです。
過去の勧告等の例を見ますと、一例として以下のような勧告等がなされたことが日弁連のウェブページに掲載されています。

・拘置所に収監されている死刑囚が、外部交通を届け出たにもかかわらず拘置所が外部交通を許可しない方針と告知したことに対して、形式的な理由のみで判断することは避け、外部交通が人権としてもつ重要性を十分に尊重した対応を行うように勧告した例

・短期大学が、勤務する准教授(視覚障害あり)に対して、授業を割り当てずに事務を担当させる職務変更命令や従前使用していた研究室からキャリア支援室に移動させた研究室変更命令、この命令に関して短期大学が協議に応じなかったことについて、視覚障害を理由とする差別であり、人権侵害だとして警告をした例

・ロースクール在学の障害のある学生から合理的配慮の申出があったにもかかわらず、その学生との間で、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況を踏まえた建設的対話を行わないことは人権侵害のおそれがあるため、大学(ロースクール設置者)に対して、障害のある学生から合理的配慮の申出がなされた場合には、その障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面・状況を踏まえ、建設的対話による理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応していくこと等を要望した事例

また、日弁連に対する人権救済申立の流れとして、最初の簡易審査がなされ、簡易審査で予備審査不開始とならなければ予備審査に移り、予備審査で、調査を行うことにより人権侵害又はそのおそれがあると認定できる可能性がある場合には、本調査が開始されます。本調査で人権侵害又はそのおそれがあると認められる場合には、勧告等の措置がなされるという流れです。

今回の某タレントとテレビ局の間の事案では、ニュース報道を見る限り、申し立てを扱わない決定をしたとのことですので、申立て後の簡易審査の段階で、事案の性質その他の事情により措置を採ることが見込まれないとして、予備審査不開始で終了となったのではないかと思われます。

人権救済申立の方法を見ますと、人権救済申立ての文書であることを明記し、「申立人の住所、氏名」、「侵害者又は相手方の氏名・名称」、「申立事件の概要」、「相手方への要望」を記載することになっております。
ニュースでは、某タレント側は処分に該当する具体的な事実が何かを知りたい旨を述べているようです。
そうすると、これが日弁連の人権救済申立制度になじむのかどうか意見が分かれるところかと思われます。
人権救済申立制度は法的な強制力がありませんので、仮にテレビ局側からの出演契約(委任契約、請負契約)などの何らかの契約を解除するような理由・原因がないということであれば、民事的に争うことも考えられます。

ただし、民法上は委任契約であれば「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」(民法651条1項)とされており、請負契約であれば「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。」(民法641条)とされておりますので、契約解除そのものを争うことは難しいかもしれません(契約内容によります)。
このような解除自体が自由な場合であっても、不当な解除であるとして損害賠償や逸失利益などの請求を民事的に行い、その中で契約解除の是非(正当な理由があったかどうか)が争点になるのではないかと思われますので、処分に該当する具体的な事実が何かを知りたいという場合には、民事的に争うしかないのではないかと思われます。


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