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自己株式の取得について

最近、会社が自己の発行済み株式を取得する『自己株式の取得』に関するご質問を受ける機会が増えている気がしております。

そこで自己株式の取得に関する事項を整理したいと思います。

会社法第155条は、会社が自己の株式を取得できる場合を規定しています。

会社が自己の株式を取得できるケースは、大別すると「会社と株主の合意による取得」と「それ以外の特別な自己株式取得」とに分けられます。

今回は、特に前者の「会社と株主の合意による取得」に絞って話を進めたいと思います。

会社が株主との合意によって株式を取得する具体的な方法として、以下の4つが考えられます。

  1. ⒜ 市場での取引による取得
  2. ⒝ 株券の公開買付けによる取得
  3. ⒞ 株主全員に譲渡の勧誘をすることによる取得
  4. ⒟ 特定の株主からの取得

会社が株主との合意によって株式を取得する場合には、原則として株主総会決議において以下の事項を定める必要があります。(例外として、上記(a)(b)の場合、及び一定の条件を満たす場合には、定款にて下記(1)~(3)を取締役会決議で決定する旨定めることができます。)

  1. (1)取得する株式の種類・数
  2. (2)取得と引き換えに交付する金銭等の内容・総額
  3. (3)株式を取得することができる期間(1年を超えられません。)
  4. (4)株主の氏名(上記(d)の場合に限ります。)

また、上記⒞⒟の場合、会社は取得の都度、以下の事項を株主総会決議(取締役会設置会社だと取締役会決議)で定め、株主に対して通知しなければなりません。

  • 取得する株式の種類・数
  • 株式1株を取得するのと引き換えに交付する金銭等の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
  • 株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の総額
  • 株式の譲渡しの申し込みの期日

このように、株主総会決議(又は取締役会決議)によって一定の事項を定め、株主に通知等を行えば、株主との合意による自己株式の取得は可能ですが、金額を気にせず無制限に自己株式を取得できるわけではありません。

会社法上、自己株式を取得するのと引き換えに交付する金銭等の総額は「当該取得がその効力を生ずる日における分配可能額」を超えてはならないとされております。

また、自己株式を取得した日の属する事業年度末に係る計算書類において、分配可能額がマイナスになる恐れがあるとき、会社は当該取得をしてはならず、もしマイナスが生じた場合、当該取得を行った業務執行者は、会社に対し、一定額を支払う義務を負う点にも注意する必要があります。


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