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「給料ファクタリング」とは

「ファクタリング」とは

2019年12月3日の日本経済新聞に、「給料ファクタリング」に関する記事が載っていました。

まず、「ファクタリング」とはどのようなもの・仕組みでしょうか。

「ファクタリング」という言葉を検索しますと、企業から売掛金などの債権を買い取り、買い取ったところがその債権を回収する仕組みだといった説明があります。

売掛金を売る側の企業としては、売掛金を売却することで、売掛金の支払いを待つまでもなく現金を取得でき、早期に運転資金を確保することができる、というメリットがあります。

逆に、売掛金を買う側の企業としては、売掛金の額面金額よりも安い金額で債権を買い取ることで、その債権の支払いを受けた際には、入金額と買い取り額の差額が利益になります。

デメリットとしては、売掛金を売る側は、売掛金の額面金額よりも低くしか買い取ってもらえませんので、額面金額よりも売上が少なくなる点で不利だと言えます。

売掛金を買う側は、債権を買ったとしても、必ずしも回収できるとは限りませんので、回収できない場合のリスクを負う場合があります。

このように、ファクタリングは、債権譲渡を使った資金確保の方法ともいえますが、実態としては、売掛金を担保とした借り入れという場合がおおいでしょう。

債権譲渡の場合、債権者から債務者に対して、債権を譲渡した旨を通知することになります。普通の企業が取引先に対して、売掛金を売ったので第三者に支払ってほしいと通知すれば、その企業の資金繰りが疑われ、取引が中止されたり、そうでなくても評判が落ちるなどのデメリットが考えられます。

そのようなことがないように、ファクタリングでは、いったん債権を売って、一定の期間までに資金が用意できれば、その債権を買い戻す(この際に手数料が取られたり、売った金額よりも高く買うことになると思われますが)、という契約になっていることが多いのではないかと思われます。

そうしますと、実態としては、売掛金を担保とした貸金であり、金額によっては利息制限法の違反になる可能性もあります。

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「給料ファクタリング」とは

「ファクタリング」とは、こういった企業間の話でしたが、最近では、従業員とファクタリング業者との間で「給料ファクタリング」という仕組みがあるようです。

給料ファクタリングの仕組みは同じような仕組みです。従業員が給料債権をファクタリング業者に売り、ファクタリング業者は従業員に債権の売買代金を支払うというものです。従業員が、一定の期限までに債権を買い戻すことができれば、ファクタリング業者は勤務先に連絡しませんが、一定の期限までに債権を買い戻すことができなければ、ファクタリング業者が勤務先に対して、給料債権を買い取ったから、その業者に給料を支払ってほしいと連絡をしてくる可能性があります。

ここで「可能性がある」といういのは、給料の支払いについて、労働基準法では、以下のように定められているためです。

労働基準法24条1項「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(後略)」

同2項「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。(後略)」

このような法律があり、給料は直接、労働者に支払わなければならないとされています。そのため、債権譲渡を受けたという者から支払ってほしいという連絡があったとしても、第三者に給料を支払えば、会社の方が労働基準法違反になる可能性がありますので、注意が必要です。

債権譲渡であれば、手数料の規制や売買金額の規制はありませんので、税法上の問題は考えられますが、今のところ債権を安く買っても、何らかの罰則があるわけではありません。

「給料ファクタリング」の注意点

ただ、実態としては利息制限法に反する金銭の貸し借りだと思われますので、このような点で何らかの規制や罰則が科される可能性は否定できません。

このような高額の手数料のかかる給料ファクタリングをして、一時的に金銭を手に入れても、給料額が減っているのとさほど変わりませんので、企業側としても、給料の一部先払い制度など導入した方がいいかもしれません。

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