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カスタマーハラスメントとは その対応

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カスタマーハラスメントとは その対応

カスタマーハラスメントとは その対応

はじめに

昨今、「カスタマーハラスメント」が問題になっております。 顧客からのクレーム自体は昔からありましたが、個人の権利意識・人権意識の向上やSNSの普及・発達、少子化等による企業の人手不足など複合的な原因から、最近、特に問題になってきているようです。

これまで「カスタマーハラスメント」に明確な定義はありませんでしたが、最近では各地の自治体がカスタマーハラスメントを規制等する条例を制定し始めております。 条例で規制等をする場合には、カスタマーハラスメントを定義する必要があります。

愛知県の条例では「愛知県カスタマーハラスメント防止条例」を制定しており、カスタマーハラスメントは、この条例の第2条4号で、 「顧客等からの就業者に対する言動であって、就業者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものであり、かつ、就業者の就業環境を害するもの」と定義されています。

カスタマーハラスメントの罰則

この条例では、「何人も、カスタマーハラスメントを行ってはならない。」(第4条)とカスタマーハラスメントが禁止されておりますが、 現状では違反した場合(つまりカスタマーハラスメントが行われた場合)の具体的な罰則までは定められていません。

しかし、罰則が定められていないからといって、カスタマーハラスメントが許されるという訳ではありません。 どこまで行けば禁止されたカスタマーハラスメントに当たるかの判断は、段階的な部分、グレーゾーンの部分があるため難しいところですが、その内容と手段・態様の双方から判断するしかないでしょう。

例えば、穏当な手段で求めていたとしても、その内容が事業者にとって義務のないことであれば、カスタマーハラスメントに当たるのではないかと考えられます。

また、内容としては正当なクレーム・抗議であったとしても、その方法が社会通念上許容されない方法(脅迫、暴力、長時間の拘束など)であれば、その方法・態様によってカスタマーハラスメントに当たると考えられます。

愛知県では、上記の条例に伴い、「カスタマーハラスメント防止に関する指針(ガイドライン)」を公表しており、その内容が参考になります。

カスタマーハラスメントと雇用主の責任

このようなカスタマーハラスメントの定義や対策は、企業活動にとっても重要です。

適正なクレーム・抗議とカスタマーハラスメントを取り違えてしまえば、企業の評判に関わってきますし、従業員がカスタマーハラスメントを嫌って退職してしまえば、人手不足が加速することになり、企業業績にも影響を与えます。

また、企業には従業員に対する安全配慮義務があると考えられていますので、従業員がカスタマーハラスメントにさらされている場合に、何の対応や対策も取らないと、従業員との関係で企業が責任を問われる可能性があります。

カスタマーハラスメントに関して従業員が雇用主を訴えた裁判の例として、東京地方裁判所 平成30年11月2日判決(スーパーマーケットの例)や、 横浜地方裁判所川崎支部 令和3年11月30日判決(コールセンターの例)があります。

こちらの裁判例では、いずれも会社の損害賠償責任を否定していますが、その理由として挙げられている内容は、

  • 苦情を訴える顧客への初期対応を指導していた。
  • サポートデスクやマネージャーに連絡や相談できる体制をとっていた。
  • 警備会社に通報する緊急ボタンを設置していた。
  • 深夜でも従業員が2人はいる体制をとっていた。
  • 対応マニュアルの策定をしていた。
  • 無料でメンタルヘルス相談やカウンセリングを受けることができた。

といったような、色々な体制を整備していたことが大きな要因となったようです。 逆に言えば、このような様々な体制整備をせず、従業員にカスタマーハラスメント対応を任せきりにしたり、従業員に助けを出すことができないような状況では、雇用主として損害賠償責任を負う可能性も考えられます。

まとめ

カスタマーハラスメントの問題は、顧客との間だけではなく、従業員との間でも大きな問題になる可能性もありますので、事前に対応方法や体制を整備する必要があるでしょう。

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