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企業の事業と弁護士法違反による問題

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企業の事業と弁護士法違反による問題

企業の事業と弁護士法違反による問題

一般的に会社というのは、営利を目的とした法人です。営利事業、つまり利益を得るための活動を行い、利益を発生させることが目的になってきます。しかし、消費者の保護、国民の利益といったような観点から、色々な業界規制がされていることが、現代社会では多々あります。

一例を挙げれば、飲食店を開業するためには食品衛生法上の許可が必要になってきますし、一定の金融商品を取り扱うためには金融商品取引法の規制を受けることになります。また、中古品を扱うには古物営業法の許可が必要です。

このように、一定の営業活動、商業活動をすることに関して、業法上の許可が必要になる場合があり、このような規制の有無は、管轄の行政庁に問い合わせることで、必要な要件などを教えてもらえるでしょう。

しかし、企業の営業活動が規制される場合として、業界の規制法以外にも、時には弁護士法などの法令に違反するということで、その事業が規制される可能性があります。

弁護士法72条に、「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」という定めがあります。

端的には、弁護士(法人)以外の者は、報酬を得る目的で、法律事件(紛争)に関して、事業活動をすることができないということです。

不動産事業のうち明け渡しに関して、弁護士法72条違反が認められ、有罪とされた事例があります。

その事例ですが、土地家屋の売買業等を営む会社の代表者が、ビルの所有者からの委託を受けて、報酬を得る目的で、ビルの賃借人に対して賃貸借契約の合意解除に向けた契約締結交渉を行い、ビル明け渡しの合意解除契約を締結するなどした、という事例です。

この件に関して、最高裁判所 平成22年7月20日に出された判決では、多数の賃借人が存在するビルを解体するため全賃借人の立ち退きの実現を図るという業務を、報酬と立ち退き料等の経費を割合を明示することなく一括して受領して委託を受けたが、このような業務は立ち退く意向を有していなかった賃借人らに対して、賃貸借契約の合意解除と明渡しの実現を図るために交渉しており、交渉において解決しなければならない法的紛議が生じることがほぼ不可避である案件に関するものであったということで、弁護士法違反が認められています。

この事案は刑事事件になっていますが、民事事件でも、弁護士法に違反するということで、取引が無効になるという事例もあります。

例えば、会社の議決権制限株式を譲り受けて、その株式の発行会社に対して株式譲渡承認請求を行い、売買価格の決定の申し立てをすること等を事業としている会社・個人があります。

このような事業に関して、このような株式の売買が弁護士法73条違反により無効であるかどうかが争われた事案があります(大阪高等裁判所 令和5年12月15日判決)。

まず、争われている前提となっている弁護士法73条ですが、その条文の内容は、「何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によって、その権利の実行をすることを業とすることができない。」とされています。

弁護士法が規制するのは、あくまで他者の交渉などの代理等をすることですので、自分の問題、自分で抱えている紛争に対して、弁護士に依頼せずに自分で対応することは問題ありません。

また、一定の権利(債権など)については、譲り受け・譲り渡しが可能となっています。そのため、事業としてこのような権利を譲り受け、自ら交渉等を行えば、実質的には他人の法律問題に介入することを認めることになってしまいます。

このような理由から、弁護士法73条が存在しています。

上記の裁判例では、結論としては、譲渡制限株式の売買契約自体が、少なくとも株式の売買価格に関する紛議を助長するものと言え、会社法144条に基づく売買価格決定手続の公正かつ円滑な営みが妨げられるから、売買契約が弁護士法73条違反により無効だと判断されました。

このように、業界規制だけではなく、他の法律により実質的に規制、制限され、取引が無効化される可能性もありますので、事業活動をする上では、このような可能性があることにも注意が必要でしょう。

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