この事案は刑事事件になっていますが、民事事件でも、弁護士法に違反するということで、取引が無効になるという事例もあります。
例えば、会社の議決権制限株式を譲り受けて、その株式の発行会社に対して株式譲渡承認請求を行い、売買価格の決定の申し立てをすること等を事業としている会社・個人があります。
このような事業に関して、このような株式の売買が弁護士法73条違反により無効であるかどうかが争われた事案があります(大阪高等裁判所 令和5年12月15日判決)。
まず、争われている前提となっている弁護士法73条ですが、その条文の内容は、「何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によって、その権利の実行をすることを業とすることができない。」とされています。
弁護士法が規制するのは、あくまで他者の交渉などの代理等をすることですので、自分の問題、自分で抱えている紛争に対して、弁護士に依頼せずに自分で対応することは問題ありません。
また、一定の権利(債権など)については、譲り受け・譲り渡しが可能となっています。そのため、事業としてこのような権利を譲り受け、自ら交渉等を行えば、実質的には他人の法律問題に介入することを認めることになってしまいます。
このような理由から、弁護士法73条が存在しています。
上記の裁判例では、結論としては、譲渡制限株式の売買契約自体が、少なくとも株式の売買価格に関する紛議を助長するものと言え、会社法144条に基づく売買価格決定手続の公正かつ円滑な営みが妨げられるから、売買契約が弁護士法73条違反により無効だと判断されました。