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初の過労死白書

今月10月7日に、政府が閣議決定を行った「過労死等防止対策白書」が厚生労働省から公表されました。この白書は、平成26年11月に施行された過労死等防止対策推進法に基づくものであり、過労死の現状や過労死防止のための対策の実施状況等が記載されています。


折しも、大手広告代理店の女性新入社員の過労自殺が労災認定されたとの報道があったばかりですが、このような事例が無くなることを願うばかりです。

1. 法施行後、初の白書

過労死等防止対策推進法は過労死対策を国の責務とし、調査研究や啓発などが柱となっています。政府は、過労死等防止対策推進法に基づき、年次報告書「過労死等防止対策白書」を初めて公表しました。


この白書は、業界ごとの長時間労働の現状や過労死等の実態を解明するための調査研究、平成27年度に行われた過労死等防止対策の取組み、民間団体の活動等が記載されており、過労死や過労自殺の現状や防止策などを280ページにわたってまとめられています。

2. 過労死等に係る労災認定の状況

仕事による精神障害を原因とする自殺(未遂も含む)の労災認定は平成27年度で93件、仕事による脳・心臓疾患を原因とする死亡の労災認定は同年度で96件に上ります。しかし、専門家の間では労災認定されているのは「氷山の一角にすぎない」という指摘があります。


「過労死のない社会をつくりたい」という遺族の願いから生まれた過労死等防止対策推進法が施行されましたが、過労死は後を絶ちません。

3. 「残業80時間超」企業の割合

企業へのアンケート調査によると、1年のうち1カ月の時間外労働時間が最も長かった正規雇用従業員について、過労死ラインとされる時間外労働時間月80時間を超えると回答した企業は22.7%でした。


業種別に見てみると、「情報通信業」(44.4%)が最も多く、「学術研究、専門・技術サービス業」(40.5%)、「運輸業、郵便業」(38.4%)が続いています。



また、残業の発生する理由としては、「業務量が多い」「人員不足」「業務の繁閑の差が激しい」「顧客(消費者)からの不規則な要望に対応する必要がある」等を挙げる企業が多くなっています。


労働者への「残業時間別の疲労度蓄積度、ストレスの状況」の調査では、残業時間が長いほど「疲労蓄積度」と「ストレス」が高いと判定される割合が多く、正社員の36.9%が高ストレスと判定されたことがわかりました。

4. 現状を知るためには周知・啓発が必要

白書の第3章では、過労死等の防止のための対策の実施状況が報告されています。

労災認定事案等の分析や、ポスター、パンフレット・リーフレット、新聞広告、Web広告、Webサイト等による周知・啓発、相談体制の整備等の実績を報告しています。


なお、厚生労働省のホームページでは「過労死等防止対策白書」のダウンロードが可能です(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138529.html)。

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