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新型ウイルス感染者情報の公表

今年に入り、毎日新型コロナウイルスに関するニュースを見ます。学校の一斉休校やマスク、トイレットペーパー等の買い占め、各種イベントの開催自粛等の問題が取りざたされていますが、感染者に関する情報は、自治体が会見を開く、又はプレスリリースによって公表されることによって私たちの耳に入ってきます。

今回考えたい問題は、自社社員がコロナのような流行性ウィルスに感染し、これを会社が把握した場合にどう対応するかというものです。

covid19_01

具体例でいえば、電通やNTTデータ、イオンといった企業は、自社社員や従業員が新型コロナウイルスに感染したことを公表しています。
また、企業としてどう対応するかも併せて公表しています。例えば、感染者の年齢・性別の公表や日常の手洗い・うがいやマスク着用はもちろんのこと、社内会議やセミナーの自粛、時差出勤、在宅勤務の奨励などが周知されています。
こういった職場環境の整備は、程度問題ではあるものの法律上当然の要請とされています(「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」(労働契約法5条))。

このうち、「公表」に関する部分ですが、ネット上のある記事によれば、企業としては従業員が感染したことはできるだけ公表したくないという声が多いようです。確かに、素人目に見ても、ある施設でウィルス感染者が出たと聞けば、しばらく立ち寄らないでおこう、利用するのは避けようと考える人もいるだろうと思います。会社のレピュテーションの毀損を避けたいという考えです。

問題は、公表「しなければならないか」又は公表「すべきか」というものです。前記のような営業利益に直結するような問題があるため、経営者の意思決定がまさに問われる場面です(会社は従業員に対して安全配慮義務を負うため、社内における告知は必須だろうと思います)。

covid19_02

しかしながら、それ以上公表すべきかについては、法律上特に規定があるわけではありません。そのため、感染者の情報をどこまで発信するかについては、やはり、感染者の動線や措置内容、企業イメージ等を踏まえた経営判断に委ねられているといえます。

参考程度ですが、公表する際には、個人情報保護法の規制を受けますので、個人が特定されないよう配慮する必要がありますし、あらかじめ本人にも確認された方がよいでしょう。

「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。

  1. 一 法令に基づく場合
  2. 二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
  3. 三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
  4. 四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。」

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